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1月から、大手損害保険会社の火災保険料が改定された。全体的には保険料が引き上げられているが、築年数が短い住宅については値下がりする場合も多い。
◆災害の多寡で違い
火災保険は、住宅が火事や風水害、家財の盗難などに遭った場合に備えるものだ。
保険料は都道府県ごとに異なり、災害が多くて保険金支払いが膨らんだ地域ほど保険料は高い。
災害の多発で、火災保険料の基準となる「参考純率」は順次、引き上げられてきた。
2021年1月の改定では、大手損保の火災保険料は、5%前後値上げされた。
こうした傾向は続きそうだ。ファイナンシャルプランナーの高橋庸夫さんは「今回の改定には、18年度までの災害による保険金支払いの影響が反映された。19年度は全国的に台風被害が多く、今後も災害が多発する可能性があると考えれば、保険料は長期的に値上がりが続くだろう」とみる。
◆個別のリスクを確認
今回の改定による新保険料を、保険金額が建物1500万円、家財500万円の条件で見ていく。
ある大手損保の例では、東京都の築30年のマンションの年間保険料は1万4890円となり、20年末までに比べ560円(4%)高くなった。
災害が相次いだ九州南部では、上昇幅が特に大きい。熊本県の場合、同じ築30年でも、保険料は戸建て(木造)で36%、マンションで24%引き上げられた。
一方、築年数の短い築浅住宅は、古い物件より災害で大きな被害に遭うことが少ないとして、保険料が割り引かれた。
東京の新築戸建て(木造)の場合、以前より10%低くなった。他の大手損保を含め、築10~15年以内なら多くの地域で保険料が安くなるという。
今回の改定は、加入する火災保険を確認するきっかけにもなる。高橋さんは「多くの人が、自身の火災保険の補償内容をよく分かっていないと思われる。自分の住まいにどんなリスクがあるのかを検討すれば、保険料の支払いを抑えることもできる」と指摘する。
中でも意識したいのが、水害など地域の災害リスクだ。川や海の近くなら浸水や高潮、崖や斜面の近くなら土砂災害が想定される。国土交通省のサイト「わがまちハザードマップ」などで確認できる。想定される災害に見合った保険内容を選ぶといい。
例えば、一戸建てで浸水想定域にある場合、水災の補償は必須だ。盗難に遭うリスクもあり、その補償もつけたい。一方で、
マンションの高層階居住者なら、浸水は考えにくく、防犯設備が充実していれば盗難リスクも低い。こうした補償を外すことができれば、その分、保険料を下げられる。
契約期間も重要だ。大手では最長で10年契約が可能で、10年1括の保険料は、1年ごとに払う合計より1割程度割引になる。
ただ、災害の頻発から、各損保が最長契約期間を5年に短縮する動きがあるという。既存の長期契約がある場合、高橋さんは
「中途解約して別の長期契約プランに切り替えるべきか、各損保のサイトで比較しては」と助言する。
◆地震保険も値上げ
今回の改定では、地震保険料も全国平均で5.1%値上げされた。
地震保険は火災保険とセットで加入し、保険金額は火災保険金額の30~50%となっている。東京のマンションで火災保険金額の50%で加入した例では、火災と地震の年間保険料の合計額は、新築の場合、20年末でより1020円増の3万5880円。一方、築30年の場合は3万9690円で、2850円高くなった。
物件によっては負担が大きくなるが、それでも高橋さんは地震保険の加入を勧める。火災保険だけでは地震を原因とする火事や家財の破損などへの補償がないからだ。「特にマンションの場合、地震は上層階ほど揺れの被害が大きい。地震保険にも加入して家財の破損に備えては」と話す。
2021年1月7日 読売新聞より抜粋